どうも、ひじきです。 もうすぐ50歳。
最近は、自分の加齢臭と焚き火の煙の匂いの区別がつかなくなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回は、おっさん3人で神奈川県愛川町にある「八菅橋下 中津川河川敷」へ行ってきました。
そこは、無料ゆえの狂気と、鉄鍋がもたらす至福が入り乱れる、大人のディープな遊び場でした。

八菅橋下の中津川河川敷という「無法地帯」の優しさ

ここは今どき珍しい、予約不要・完全無料のキャンプスポットです。
目の前には中津川の清流。
ロケーションは最高なのですが、無料ゆえに利用者のマナーはなかなかのカオスっぷりを見せています。

夜遅くまで重低音の音楽を響かせる若者、直火で地面を真っ黒に焦がしたまま立ち去るツワモノ……。

普通の高規格キャンプ場なら「おいおい…」と胃がキリキリするところですが、おっさん3人、不思議と心が穏やかでした。
なぜなら、マナーが悪いということは、裏を返せば「こちらも1ミリも気を使わなくていい」ということだからです。

他人の目が一切気にならない。
この適度な放ったらかし感が、私たちのガチガチに固まった脳みそを、ゆっくりと解きほぐしていきます。(あ、もちろん私たちはゴミを1つ残さず持ち帰るグッドマナーを死守しましたよ。そこは大人ですから。)

地面は全面、容赦のない砂利とゴツゴツした石。
車の乗り入れが自由なので、重い鉄鍋を大量に積んできた私たちにはありがたい環境ですが、ペグを打つたびに火花が散るレベルです。
プラスチックのペグを持ってきたら、一瞬で心が折れるでしょう。

鉄と炎に五感を捧げる。男3人の狂気のキャンプ飯

今回の目的は、ひたすら「美味いものを食う」。
おっさんが3人も集まると、彩りだの映えだのといった概念はすべて川に流されます。
重要なのは、鉄鍋の戦闘力と、五感に直接刺さるかどうかです。

焚き火で育てる「丸ごと野菜のポトフ」に涙する

まずは、大きなダッチオーブンを三脚から吊るし、焚き火の豪快な炎にかけます。

キャベツは4分の1にザクッと切っただけ。
人参も玉ねぎもじゃがいもも、皮がついたまま丸ごと放り込みます。
アクセントのセロリと鶏肉を詰め込んだら、あとは炎にすべてを委ねる。

じっくりと煮込まれた野菜たちは、もはや元の形を保っているのが奇跡なくらいトロトロです。
スプーンでキャベツを崩し、熱々のスープを口に含んだ瞬間、脳内の全細胞が「これこれこれ!」とスタンディングオベーションを始めました。
冷え込む河川敷の闇の中で、体中の毒素がスープの熱さで洗い流されていくような錯覚に陥ります。

スキレットの狂気。ホタルイカとネギのアヒージョ

続いては、ビールを無限に吸い込むための黒い悪魔、ロッジのスキレットの登場です。

今が旬のぷりぷりとしたホタルイカと、これでもかとブツ切りにしたネギ。
ニンニクと鷹の爪の香りが移ったオリーブオイルの中で、彼らが狂ったようにグツグツと踊り狂います。

ホタルイカの濃厚なワタがオイルに溶け出し、それを吸い込んだネギを口に運ぶ。
……美味すぎる。脳のどこかのスイッチが完全にオフになりました。
バゲットにこの怪しいオイルを浸して食べると、もはや言葉を失い、
おっさん3人で「うむ」「うわ」という原始的なうめき声しか発せなくなります。

ダッチオーブンが石窯に変わる。本格トマトとバジルのピザ

男3人の食欲は止まりません。
今度はダッチオーブンを「オーブン」として覚醒させます。

鍋底に生地を敷き、トマトソースを塗りたくり、チーズをこれでもかと盛り付けたら、最後にフレッシュなバジルをドサッ。

蓋の上にも真っ赤に熾った炭をドサドサと置き、上下からの熱で一気に焼き上げます。
この、蓋の上の炭を見つめている時間が一番ゾクゾクしますね。

フタを開けた瞬間、香ばしいチーズの香りが爆発しました。
生地はサクサク、チーズはとろ〜り。
キャンプ場でこんなクオリティのピザが食えるなんて、胃袋が歓喜の悲鳴をあげています。
男3人で1枚のピザを無言で引きちぎり、一瞬で消滅させました。

胃袋への清涼剤。白身魚の刺身とオクラのネバネバ

肉やピザの脂に胃が少し悲鳴をあげ始めた頃、クーラーボックスの奥底から「秘密兵器」を取り出しました。

キンキンに冷やしておいた白身魚のお刺身。そして、シェラカップには細かく刻んだオクラと魚のブツ切りを和えた特製ネバネバ。

これがもう、ギトギトになった胃壁を優しくコーティングしてくれる最高の救世主。
アウトドアの風に吹かれながら、冷たいお刺身を醤油につけて口に運び、すかさず日本酒を流し込む。
「あぁ……生きててよかった……」 おっさんたちの口から、本日一番の深い溜息が漏れ出しました。

八菅橋下で「自分」を取り戻すための教訓

もしあなたが、このワイルドな聖地へ行こうとするなら、以下の教訓を胸に刻んでください。

  • ペグは「鉄の塊(鍛造)」以外はゴミになる: 地面は意志を持った石だらけです。
  • カオスを受け入れる広い心を持つ: 静寂を求めるなら、ここではなく大人しく家で寝てください。
  • ゴミは魂とともに持ち帰る: 無料だからこそ、自分の汚したものは全て回収するのが本物の大人の生存戦略です。

まとめ:役割を脱ぎ捨てて、ただの「胃袋」に戻る夜

周りの賑やかな音楽や話し声が、心地よいホワイトノイズのように遠くで流れる中、私たちはただ焚き火の炎を見つめ、美味いものを食うことだけに集中していました。

日常の肩書きや、50歳という年齢のプレッシャー。
そんなものは、ダッチオーブンの高熱と、ホタルイカのワタの旨味の中にすべて溶けて消えていきました。

ただの「美味い飯を欲する生き物」に戻れる場所。
八菅橋下の中津川河川敷は、おっさんたちの五感を優しくリセットしてくれる、最高に不親切で、最高に自由な楽園でした。